ビジネスで応用する脱力系アイスブレイクマジックの思考
初対面の人と打ち解けるには、それなりの時間がかかります。
ビジネスマンで営業職に就いている方でしたら、新規のお客様のところに営業にいっても、話すら聞いてもらえないこともあると思います。これは、相手があなたのことを知らないため、警戒されているからです。
そこで、ビジネス関係の書籍では「警戒感を解くには、相手が興味のある話題に話を合わせると、会話が弾み少しずつ打ち解けられるようになる」というニュアンスで解説されていることが多いです。
しかし、相手が興味のある話題に行き着くまでが難しい場合がほとんどではないでしょうか?
相手との距離を一気に縮めるアイスブレイクマジック
私はマジシャンです。特にバーでマジックを行う場合は、お客様の興味があることや好きな食べものなどをさりげなく聞き出し、それについての話も交えながらマジックを行います。
バーのようなお酒と会話を楽しむところでは、マジシャンが一方的にマジックを見せるだけでは、お客様は会話を楽しむことが出来ず、マジックが終わり次第すぐに帰ってしまいます。
そのため、お客様にバーで楽しんでいただくためには、お酒とお客様が興味のある話題の会話を楽しみながらマジックを行うことが重要です。
しかし、会ってすぐの方にいきなり「趣味はなんですか?」と聞くのも少し気が引けます。そこで、お客様と打ち解けるための最初の難関を、マジックでクリアします。
この時、いきなり本格的なマジックは行いません。いきなり本格的なマジックを行なったとしても、お客様は心の準備ができていないので、何が起きたのか理解できないからです。
そのため、最初はマジックとはいえない、どこか脱力感が漂うようなマジックを行います。
たとえば、目をこすったら巨大なコンタクトレンズが落ちてきたり、ハンカチを落としたら勝手にハンカチがポケットに戻ってきたりするマジックです。
大切なことは構えて行うのではなく、サラッとさり気なく行うことです。
このように、さり気なく相手の興味をひくことができれば、そこから先は、相手から興味を持って見てくれるようになるので、マジックがとてもやりやすくなります。
前述のような、最初にお客様と打ち解けるためのマジックを、アイスブレイクマジックといいます。
アイスブレイクを直訳すると「氷を砕く」となります。アイスブレイクマジックは、まさに初対面の人の「氷のように硬い心のガードを打ち砕く」マジックといえます。
ちなみに、アイスブレイクマジックは「マジシャンだからできる」と思われるかもしれませんが、そのようなことはありません。
アイスブレイクで大切なことは、「相手と打ち解けるためのキッカケを作る」ことです。そのため、アイスブレイクでは必ずしもマジックを行う必要はありません。
アイスブレイクの考え方
ビジネスマンは、しっかりとスーツとネクタイを着用し、仕事を行います。しかし、あなたの周りに本人は真面目なつもりでも、どこか憎めず抜けているようなキャラクターの持ち主はいないでしょうか?
何もしないでも、会った瞬間に相手の警戒感がとけてしまうような性格の持ち主です。
そのような人は、相手から話しかけられる美味しい性格の持ち主です。その人の存在自体でアイスブレイクができてしまいます。
いちばんの理想は、自分からアイスブレイクするために、何かをすることではありません。相手から話しかけたくなるような存在であることが、相手と自然に打ち解けられる最良の方法です。
そのためには、まず自分のことを客観的に見なければいけません。真面目で仕事ができる雰囲気を出すことも大切ですが、逆にそのことが相手にとって威圧感になってしまう場合もあります。
そこで、あなたの日常に、少しだけ嫌味のない遊び心を取り入れてみてください。大切なことは、相手が思わずツッコミたくなるような雰囲気です。
例えば、試しに腕時計を両腕につけて出勤してみてください。これだけでけっこうな確率で「なんで腕時計を両腕につけているのですか?」と相手から質問されます。
こうなればチャンスです。あとはそれに対するユーモアを交えたジョークを用意しておくだけです。私の場合、片方は普通の腕時計をして、もう片方は腕時計型のライターをしています。
質問されたらすかさず「ヘビースモーカーなので……」と言って、腕時計型ライターを点けます。
相手はまさか腕時計がライターだとは思っていないので、つい笑ってしまいます。この笑いが相手との距離感を一気に縮めてくれます。
このような遊び心をくすぐるアイテムは、ドン・キホーテや東急ハンズ、ビレッジヴァンガード等で売っています。下らないと思うような物ほど役立つことが多々あります。少し気にしながら買い物を楽しんでみると楽しいでしょう。
相手から突っ込みたくなるキャラクター設定は、ビジネスからアフターファイブまで大いに役立ちます。あなたも是非、ビジネスにアイスブレイクマジックの思考を取り入れてみて下さい。
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