マジシャンをしていると、レストランでマジックを行う機会が必ず訪れます。レストランでマジックを見せる場合、発表会やコンテストとは全く違った心構えが必要です。

学生マジシャンや趣味でマジックを行なっている人は、自分が練習したマジックを手順（ルーティーン）通り行うことに一生懸命になります。

これは、マジックの発表会やコンテストでは、決まった流れ（ルーティーン）でうまく構成された演技を評価されるからです。

玄人ウケするマジックの思考から抜け出す必要性

しかし、レストランでマジックを行う場合、そういった玄人ウケするマジックを行なっても喜ばれることはありません。

コンテストや発表会は、マジックに詳しい人達に見せ、そのような人達に評価をしてもらうことが目的となります。そのため、一般の人に喜ばれるマジックが必ずしも高い評価が貰えるとは限りません。

そのような場で評価されるマジックは、現象やルーティーンが変に凝りすぎて複雑になっているため、一般の人にとっては分かりにくいのです。

そこで、これからプロマジシャンとしてレストランでマジックを行うことを考えている場合は、レストランで喜ばれるマジックの見せ方を勉強する必要があります。

レストランでは、お客様は食事や会話をして楽しんでいます。そのような場で、いきなり玄人向けの専門的なマジックを見せても、お客様には難しすぎて理解できないので、すぐに飽きられてしまいます。

そのため、例えコンテストで良い評価を得たマジックであったとしても、レストランで通用するとは限りません。

マジックを見ることが初めてであったり、そもそも見る気がない方にマジックを見せたりする場合は、分かりやすく単純で、各テーブのお客様に最適なマジックを行うことが大切です。

そのため、まずは「楽しい」と思ってもらうことでお客様の心をつかむことが重要となります。

レストランのお客様は様々

レストランの客層はテーブルごとに異なります。全てのテーブルで同じマジックを行なっても、同様に楽しんではもらえません。

例えば、幼稚園児ぐらいの子供がいる家族連れのテーブルで、最初にトランプマジックを見せてもそのテーブルは盛り上がりません。トランプマジックは子供には難しすぎるので、理解できないからです。

そこで、子供が理解できる簡単なマジックを行い、先ずは子供に喜んでもらいます。すると、大人は子供が喜ぶ姿を見て楽しむため、そのマジシャンに興味を示してくれます。

まずは、このような雰囲気を作った後に、大人も楽しめるマジックを行うと興味を持って見てくれます。

また、男性のみのテーブルの場合、家族のテーブルでウケたマジックを見せても、同様にウケるとは限りません。

この場合、例えば「そんなことができたら女性にモテるだろうな」と思われるような、男心をくすぐるマジックを行なった方が喜ばれます。

このように、レストランでマジックを行う際は、テーブルごとに雰囲気が全く異なるので、それぞれに合ったマジックをすることが重要になります。

マジックを行っていない時もテーブルに注意を払う

そのため、レストラン内を回遊している時も、常にお客様のテーブルに注意を払います。そして、会話にも聞き耳を立て、「それぞれのテーブルに最適なマジックは何か？」を考えることが大切です。

このようにアンテナを張って回遊していると、お客様がレストランを利用している目的が予測できます。そのことによって、どのような切り口でマジックを見せれば良いかを掴むことができます。

例えば、誕生日のお祝いで利用していると分かった場合、そのテーブルでは誕生日の方をお祝いするようなマジックを行えば、とても感謝してくれます。

レストランでは客層も違えば、それぞれ利用目的も違います。このような場で、マジシャン自身が良いと思ったマジックをそのまま見せても、受け入れられることはありません。

マジックが楽しいか楽しくないかはマジシャンではなく、お客様が判断することです。

どんなにコンテストで評価されたような凄いマジックだとしても、お客様が楽しいと評価してくれなければ、そのマジックを行う意味はありません。

そのため、これからマジシャンとしてレストランでマジックを行う場合は、テーブルの雰囲気に合わせて臨機応変に即応できる楽しいマジックを行うことが重要となります。

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